2014年6月18日水曜日

シニアディスカウント 【追記】【再追記】あり

「ここで問題です」で出した問題について、つぎのような反応が寄せられました。到着順に掲載いたします。

気の利いた簡潔な言葉は難しいと思います。なぜならば、「結構です。」といった短い言葉は、先生が話されたように、短いだけにいろいろな意味の可能性を持ってしまいます。だから、正しく話者の気持ちを相手に伝えるためには、例えば、
(1) 「お申し出有り難うございます。でも、結構です。お客様は年齢を偽るような方にはお見受けできませんので。」
などのように、正確さかつ丁寧さを保持するためには、どうしても言葉を重ねる必要があると思います。(高校国語教員)

(2) 「それには及びません。お客様の言葉を信頼しております。」
と付け加えるのがいいのかな。たぶん、後半のような配慮はマニュアルにはないんだろうね。英国の有能な執事なら言うでしょうね。もちろん笑顔付き。言語の領域からオシャレ学というか、文化背景に踏み込む気がする。日本のマニュアルはフローチャートしか作らないからね。いろんな会議には「想定問答集」を作るらしい。嘆かわしい... (大学英語教員)

(3) 「お客さん(お客様)のおことばで十分ですよ。」
はいかがでしょうか。アメリカ人っぽいでしょうか。(笑)(応用言語学大学院生、アメリカ人)

(4) 「ありがとうございます。そのお心遣いだけ受け取らせて頂きます。」
(観光学関係学部生)

(5) 「ありがとうございます。私どもはお客様のお申し出で対応しておりますので、証明書等は不要でございます。」
(観光学関係学部教員、元キャビンアテンダント)

どの回答も素敵ですが、わたくしとしては(5)にグランプリを差し上げたいと思います。選考の基準は《あのホテルのレストランの場面で対応してくれたかたがどのことばを発したら一番気持ちがよいか》です。この回答者は元キャビンアテンダントということですが、こういうことばがすぐに出てくるように研鑽を詰まれた結果だと思います。すばらしい!

【追記】
その後、アメリカ在住のかたから以下のコメントをいただきました。
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面白い問題ですね。昨夜コメントしようと思いながら、寝てしまい、今朝見たらすでにいくつか例が挙げられていたので、この時点ではあまり意味がないかもしれませんが、、私は個人的には、ニッコリ笑顔で、係の人が先生に言ったように「いえ、結構でございます」、あるいは「必要ありません」あたりがいいと思います。「信頼しています」などの言葉を入れたり、店の方針などを入れると、私には少しぎこちなく思えます。よく説明できませんが、何か言い訳(?)をしているような感じに聞こえるのかもしれません。まあ、ディスカウントの割合がどの程度かわかりませんが、利益が出るように設定しているでしょうから、仮に嘘をついている客がいたとしても、そこで証明させようとするよりは、気分よくまた再来してくれる方が店にとってもいいかもしれまん。先生は髪の毛もふさふさしていて、お年寄りもわかく見えるので、ひょっとしたら係の人も心の中で「ちょっと若いな」と思ったかもしれませんが、誠実なお人柄がお顔ににじみ出ていたのが感じられたのかもしれませんね。
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(3)のアメリカ人のコメントにつうじるものがあっておもしろいですね。ここまで来ると、どんな雰囲気のレストランであるのかというような要因も絡んできそうですね。なお、わたくしの髪はすでにふさふさ状態ではなくなりました。

【再追記】
アメリカ在住の別のかたからはこんなコメントが寄せられました。
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アメリカにいると "I need to see your ID."みたいな物言いになれてしまうので、こういう時の対応はさっと言葉が出なくなりますねえ。
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内モンゴルからの留学生はこんな感想を寄せてくれました。
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もう素晴らしい答えもでているようですね。自分はその場面を想像してみました。たぶん大津先生は満面の笑みで証明書出そうかと言いながら、レジ係の表情をみていてただろうな。確かに、お客様が何の目的であろうが、“いいえ、けっこうです”は軽いかなと思います。一言お礼いを言うのが普通ですね。

日本人母語話者の回答を見るとなかなか私から想像できない答えです。言いたくても言えないのがはすかしながら自分の日本語能力に問題であることは分かっています。ただし、今回は接客マニュアルにない展開ので、素直にけっこうですと言ったでしょう。

私個人的面白い(ユーモア)人にオリジナルの答えしてもよいと思います。聞いた話ですが、日本で関西人は関東人よりユーモアということです。話は以下です。

場面はスーパーのレジのおばさん
お客さん、五十代 男性
レジ係、同年代 女性

客:お姉さん、ちょっと安くしてくれよ
関西レジ係:(笑ながら)すまんね、そのうち私が店長になったらそうするね

客:お姉さん、ちょっと安くしてくれよ
関東レジ係:(おじぎしながら)お客様大変申し訳ごさいません。当店ではお安くすることできません。

これは、先生がいたずらした気持ちと同じタイプかなと思います。もし外れていたら、すみません。
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外国語と外国文化についてこれだけの観察と報告ができる院生がいることは大津研の誇りです。


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